熱処理知識の泉

固溶化熱処理

目的

固溶化熱処理は
主にオーステナイト系ステンレス鋼に必要となる処理で
冷間加工や溶接などによって生じた内部応力を除去し、
また、熱間加工や溶接によって析出した粒界腐食の原因となるクロム炭化物と
Cr45%前後のFe-Cr合金でもろいシグマ相を固溶化して延性の改善と耐食性の向上させるため行われる

熱処理方法

オーステナイト系ステンレス鋼の代表的なSUS304であれば、
約1100℃まで加熱して一定時間保持し、全体が一様なオーステナイトになった時点で、
急冷する。
処理温度が高いほど炭化物はよく固溶するが、結晶粒が粗大化したり、
表面に酸化スケールが生じる。加熱保持時間は1h/25mm、薄板であれば1.5min/1mmを標準とされている。
冷却速度は早いほどよいが、速すぎても熱ひずみで変形するため、製品の形状、肉厚、寸法などを考慮の上
冷却方法を選択すべきである。
一般には、肉薄物または小物は空冷し、肉厚物は水冷する。